花を辿れば、
壬生寺の境内に一歩踏み込んだところで、総司はあることに気付いた。
─そういえば、土方さんから害がなかった場合の対処を聞いてなかった...。
まぁいいか。
本当に害が無いならどうとでもなるだろう。
それよりも鬼がどんな『人間』であるかが重要だ。
そう、人間なのだ。
最初から土方も総司も本物の鬼が出ることなど期待していない。
土方自身が『鬼の副長』と呼ばれる人物なのだから。
問題はその人間が、新撰組にとって害となるのか、無害となるのか、はたまた利益を生むのかどうかである。
だが、鬼と呼ばれるくらいなのだからまず害があると考えていいだろう。
そこで腕が立ち、調べるのに適している総司が調査に向かわされたのであった。
それが、総司にとって人生に関わる大きな出来事になるとは知らずに。
ふわ...
「ん...桜?」
一陣の風と共に、一片の桜の花弁が舞った。
引き込まれるように桜が吹いてきた方に近付いていく。
薄桃色が目に映る。