花を辿れば、
それは一瞬だった。
永遠のような一瞬。
その瞬間全てが奪われる感覚がした。
たったの一瞬で、今までの考えを崩された気がした。
頭から爪先まで、電撃が駆け巡るような。
心が、体が、全てが。
全て今目に映っているモノに持っていかれたような、そんな感覚。
胸が疼く。
『恋は理屈じゃどうにもならないんだよ。』
『理屈じゃ説明出来ない思いが確かにある。』
─あぁ、
『自覚するとかしたとかじゃない。気付いた時にはもう奪われている。』
─あぁ、近藤さん、貴方の言うとおりだったのかもしれない。
私は、恋のことなど何一つ分かっていなかった。
自覚するとか、そんな曖昧なものじゃなかった。
この思いをどうして捨てられよう?
この思いは一体どこに向かうのだろうか。
涙が一滴、頬を濡らした。
思わず声が出た。
震える喉から、蚊の鳴くような声で。
ただ、一言。
「きれい、だ」
その声は、想いは、貴女に届いたのでしょうか。