花を辿れば、
─この人今、何て言ったの...?
何を言ってるの....。
「私が、怖くないのですか?」
─気づいたら、口走っていた。
一番聞いてはならないことを。
一番尋ねたかった言葉を。
聞きたくて、欲する言葉が聞きたくて。
『言ってくれるわけないのに。』
誰でもいい、嘘でもいいから言ってほしくて、何よりも望む言葉が欲しくて。
『そんな人いない。嘘だったら嘘で傷付く癖に。』
無理だと分かっている私が封印した言葉。
諦めが悪い私が封印を解く言葉。
『いつでもコトバは私を傷付ける。』
けれど、
それでも縋ってしまう私がいて。
『駄目なのに。
無駄だよ、今なら引き返せる。逃げなくちゃ。』
冷静な私が言う。
『お願いだから、これで最後にするから。』
馬鹿で諦めの悪い私が言う。
勝つのは結局、私の本心。
酷く怯えた様子の彼女を見て驚いた総司は、安心させる様に笑みを零して口を開いた。
「怖い?
貴女を怖がらなくてはならない理由が分かりません。」
「私は普通とは違います。」
「髪の色がですか?目の色がですか?...貴女自身がですか?」
「そんなの、」
決まってる。そう言おうとした彼女の言葉を遮り、総司が口を開く。
「私は、貴女の髪も目も含めて、貴女を綺麗だと言いました。
貴女が普通じゃないのなら、私も普通ではないだけのこと。
─私は、貴女を怖いとは思いませんよ。」
─世界に色が戻ってくる。
まだ信じてはいない、そう自分に言い聞かせて、私は言葉を紡ぎ出す。
「ありがとう。」
─頬を伝う雫の存在に、気付かないふりをした。
優しく指で頬を拭う貴方への感情に、気付かないふりをした。