花を辿れば、
文字通りきょとーんとした顔で自分を見ている土方に、薄く笑みを浮かべて総司が切り出す。
「近藤さんが気付いて土方さんに教えたってこと。嘘ですよね。
私、近藤さんには特にバレないように接しましたし。
そもそも近藤さん、そういうとこ結構鈍感なんですよー、土方さんも知ってるでしょう?」
「な、」
「土方さん、何年の付き合いだと思ってるんです。
土方さんが嘘を吐く時の癖くらい、熟知してますよ。」
「ーっ!」
「もー、土方さんの照 れ 屋☆」
「っるっせ!」
あはは、と笑い出した総司から真っ赤な顔を背け、ドタドタと大きな音を立てて足を進める土方。
その後ろで声を上げて笑っていた総司が漸く笑いを止め、今度は微笑みながら口を開いた。
「ありがとうございます。」
「あぁ!?」
「ありがとうございます、土方さん。」
─何を、とは言わない。
言う必要など無いだろうから。
本当にこの人は、鬼と呼ぶには優し過ぎる。
賢くて鋭くて、本当は作り笑顔の理由だって分かっていたはずだ。
わざと話を変えたことも。
分かっていて合わせてくれる貴方の優しさに、甘えることしか出来ない私を許して下さい。
言えないことへの謝罪ではなく、言えないことを持続する為の御礼を言った私を、どうか許して下さい。
「...あぁ。」
─きっと貴方は、それすら気付いているけれど。