花を辿れば、
「...で?
鬼の方はどうだったんだ?」
土方の自室に着いて早々に話を切り出された総司。
そう、忘れかかっていたが、総司は壬生寺に『鬼』の正体を調べに出向いたのであった。
今総司の心に留まり続けている彼女と出会った後、彼は一応寺周辺も探してみたものの、結局それらしき人は見付けられなかった。
「残念ながら。
というよりも、本当にそんなの居るんですか?」
─本当にそんなおっかないやつが出るなら、彼女は正に格好の的じゃないか。
不謹慎ながらも、総司にとっては鬼の正体よりも、彼女の安全の方が大事なのである。
そんな総司の思いをつゆ程も知らない土方は、あっさりと頷いてみせた。
「あぁ。実際見たことあるやつが複数いるからな。
まぁ実際の被害はまだ出てねぇし、暫くは様子を見るか。
但し、一応壬生寺はちょくちょく見に行っとけよ。
お前言っとかないとほっとくからなー。」
ハァ、と溜め息を零す土方。
それにムッとした総司が言い返す。
「酷いですねー。
言われなくても本当に行きますよ。」
「?お前、何で今回はやたら気合い入ってんだ?」
「今回"は"って何ですか!
私はいつもやる気いっぱい気合い十分でやってますよっ☆」
「.....。」
─何です。
その『何コイツ。変なもん食ったのか?』みたいな目。
「え、何コイツ。
変なもん食ったのか。」
「口に出しやがった。
というか疑問系じゃないんですけど。あれ、決定?」
「総司、疲れてる時は無理しなくていいんだぜ?」
「うっわ気持ち悪いつになく優しい気持ち悪っ。
ていうか失礼でしょ。」
「いやお前が一番失礼だろ。
つか口調変わらなかったか今。」
「...ところで誰か見たことあるってことは容姿の特徴とか分からないんですかー?」
「話変えたな今。」
またまたハァーと深い溜め息を吐く土方に、「幸せ逃げますよー」などと抜かす総司。