花を辿れば、




ひらり、と掌に落ちた花弁を見つめ、総司が口を開いた。







「さくら。」





「.....え?」




「さくら。

貴女の名前。
さくら、なんてどうですかね。」





「、あ.....な、まえ?」





微かに震える彼女─『さくら』を見つめ、総司が照れた様に言う。





「貴女を呼ぶ名前が必要でしょう?
私、遠くにいても貴女のこと呼べないじゃないですか。
あ、もちろん気に入らないなら違う名前も考えますから、」



「─ひつよ...?」





「えぇ。必要です。
私にとって貴女は、必要です。
...って、さくらさん?」




「...っふ、うぅ.....っ」




「わ、わぁー!?
泣かないで下さい、そんなに嫌でしたか!?
すみませんでしたーっ!!」





突然泣き出したさくらに、焦り出す総司。
感情が乏しい彼女のことだ、まさか泣き出すとは思わなかったらしい。
しかも最初の時の零すだけの涙と違い、今回は本気で自分が泣かせている為に、どうやって泣き止ませればいいのか分からない様だ。





「あのーさくらさん、」


「っく...さく、ら。」




「.....へ?」





ぽかーんとしている総司に気付かず、泣き止み掛けているさくらが続ける。





「さくらって呼んで下さい、沖田さん。」



「!...総司でいいですよ、さくら。」





そう言って満面の笑みで笑う総司に、ふわりとさくらが笑い返した。





「総司さん。」



「ーっ!」





─あぁ、貴女は笑顔がとても似合う人だ。





「桜の様な人に、なって下さいね。」



「桜の様に、ですか?」





─本当は、出会った時から貴女は桜みたいな人だった。



けれど。




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