花を辿れば、
ハァッハァッ....っ!
一人の少女が山道を駆ける。
少女は明らかに『異質』であった。
黒髪黒目しかいないこの日本で、少女は白に近い薄桃色の髪を靡かせ、血よりも真っ赤な瞳を煌めかせて息を切らしながら走っているのだ。
数十分後、彼女はようやく木の幹に凭れかかって走ることを止めた。
─ここ...何処だろう。
もう村から結構離れたかな?
...お腹すいたなぁ。
足も痛いし、疲れちゃった。
...あれ?何でだろう。
何で私、今更遅いのに。
ぽた...
─涙が止まらないや...。
「..っく....うぅ...っ」
少女は、幹に顔を押し付け、声を押し殺して静かに滴を落とした。
誰もいない静かな山の中、それでも少女の泣き声が響くことはなかった──。