花を辿れば、
あの後、総司は仕事があるからと帰って行き、さくらは一人桜の下で考え事に浸っていた。
─そういえば私、総司さんが何をしている人なのかも知らない。
...何で私と居るのかも。
本当に総司さんの意志なのかな...?
興味があったから?
何で?
総司さんは綺麗だからと言ってたけど、本当に?
私のどこを見たら綺麗に見えるというのだろう。
桜みたいであれば、貴方は私に会いに来てくれると言ったけど...総司さんは桜が好きなの?
桜が散れば、もう私には会いに来てくれないの...?
ハッと気が付いたさくらは、頭の上を見て涙を流していた。
─最近の私、泣き虫だ。
昔は涙どころか、悲しいとも思わなかったのに。
総司さん、貴方は優しさと共に私に感情をも運んで来てくれたのでしょうか。
そこで向けられている視線に気が付いたさくら。
「総司さん...?」
そう言って振り向けば、さくらの知らない男だった。
だが向けられる視線は、さくらの知っている物で。
─あっちが動く前に逃げよう。
あの人、刀を差してる。
それに、総司さんみたいな柔らかさは感じない。
...逃げなくちゃっ!!
瞬間、走り出そうとしたさくらだが、男が発した言葉によってその行為は途中で止まった。
総司を、知っているのかと。
男は確かにそう口にしたから。