花を辿れば、





振り向いたさくらは、警戒心の強い目で男を見た。




よく見ると、男は少し少年らしさが残った小柄な青年だった。



総司と同じか、或いは少し下の年齢といったところだろうか。






「おい、聞いてんのか。
俺は総司を知ってるかどうかを聞いてんだぞ。」






苛立った様に言う男をキッと睨みながら、長い沈黙の後にさくらが口を開いた。





「知っていようと知らなかろうと、貴方には関係無いでしょう。
貴方がその人の知り合いだと言うなら、直接聞けばいいわ。」





そう言って再び睨みを利かすさくらに、噛みつく様に男が言い返す。






「何お前、一丁前に総司の知り合い気取り?
ハッ、どうせ相手にもされてねぇくせに。
総司は気まぐれでしか女の相手しないんだよ、お前も珍しいから総司が興味持っただけだ。
...あぁ、それか仕事で近付いたのかもな?
だったら大笑いだっ!
─そうでなきゃ、お前みたいな化け物、総司が相手にするもんか...っ!!」







─ずく、と胸の内が痛んだ。





痛いよ、総司さん、痛くて泣きそう...。





だけど、それじゃあこの男の思い通りだから。







「...私は知り合いなんて言ってませんよ?
貴方、子供みたいね。」





クスッと笑い、冷たい、凍りつく様な瞳で男を見るさくら。



男はグ、と歯を食いしばり、ギロっとさくらを睨むと半ば叫ぶ様に言葉を紡ぐ。





「何なんだよお前...っ!
何でお前なんかが総司の名前を呼んでるんだよ!!
お前なんかが総司に似合うわけないだろっ!?
自覚しろよ、化け物!!」




「...。」





─知ってるよ。
分かってるよ、そんなこと。
今更誰かに言われなくたって、最初から自覚してる。





さくらは変わらず、男を冷たく見つめながら黙ったままだった。




それが気に入らないのか、更に続ける男。




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