花を辿れば、




「どうせ総司のこと、何も知らないくせに...っ!
仕事だって、何やってるか知ってんのか!?
知らないだろ!!」




「....。」





黙ったままのさくら。



男が嘲笑った様に言った。





「やっぱりな!
教えてやろうか!?
総司の仕事!!

人殺しだ!
総司は、新撰組なんだよ!!」




「.....。」





さくらの表情は変わらない。




...変えられないの方が、正しいかもしれない。






─新撰組...?




そういえばこの前、一緒に遊んでた子供達が言っていた。





『ここにはね、鬼が出るんだって!
だからお姉ちゃん危ないよ!』


『もう少ししたら新撰組が来て鬼を退治してくれるから、遊びに行くのは待ちなさいって母上が言ってたんだ。
僕、このことお姉ちゃんに伝えに来たんだよっ!
お姉ちゃんも、新撰組が来るまではあんまりここに来ない方がいいよ!

...でも、母上この前新撰組の悪口言ってたのに、何で新撰組に助けてもらうんだろうね?』






─あぁ、何だ。






そう言うこと。







『私は、貴女を怖いとは思いませんよ。』


『また、ここに来たら会えますか?』


『私が会いに来ますよ。』


『待っていて下さいね。』


『貴女を呼ぶ名前が必要でしょう?』


『私にとって貴女は、必要です。』


『私は、何もしていませんよ。』







─何で.....?




優しさなんか、要らなかったのに。






「だったら、何だと言うのです。」





ぽつりと、変わらない表情のまま言うさくら。





─心の中でも、同じことを思えれば楽だったのにね。





何で私は泣けないんだろう。



もう、意地なんてどうでもいいのに。





泣きたいのに、泣けないの。







総司さん、私はもう、貴方がいないと感情を出せないみたいです。




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