花を辿れば、
ザッ
ガキィィ...ン
─.....何で。
ツゥー...と静かにさくらの頬を伝う滴。
「何をしているのです?平助。」
「そ、うじ...。」
平助と呼ばれた男が、驚きに目を見開いている。
さくらには見えないが、総司の顔にいつもの笑みは無い。
さくらを後ろに隠したまま、首を傾け、低く声を発する総司。
「聞こえなかったみたいですね?では質問を変えましょうか。
─誰に手ぇ出してるんですか。」
溢れんばかりの殺気を感じて、平助が息を呑む。
キュッと握りしめていた刀を下ろし、一歩後ろに下がった。
─総司さんが、怒ってる...?
何故、と困惑の目で総司を見るも、気付くはずがなく、総司はそのまま唇を動かした。
「平助?
何か答えてくれませんか?
私、今凄く怒ってるんです。
例え平助でも、
─殺しますよ?」
ゾクッ
平助の顔に、冷や汗が伝った。
そんなことには構う様子も見せず、総司がゆっくりと刀を構えた。
...だが。
グッ
「!...さくら?」
それは、震える手で総司の裾を掴むさくらによって中断された。
総司は我に返り、今はさくらの前だったことを思い出すと、すぐに振り返りさくらが無事か確認しだした。
「さくら、痛い所は無いですか?怪我は?
すみません、私」
「大丈夫です。」
途中で言葉を遮り、総司の顔を見上げたさくら。
「大丈夫、ですから。」
─大丈夫、いつもと何も変わってないはず。
大丈夫、大丈夫だから。
大丈夫だから、どうか優しくしないで...。