花を辿れば、
無言。
ただただ無言で頓所の廊下を一定の速さで進む総司と、その後ろを行く平助。
二人の間には、どこか気まずい空気が流れている。
と、そこでついに耐えきれなくなった平助が、口を開いた。
「あのさ、総司...。」
「...。」
「.....怒ってる?」
「....。」
「あの.....ごめん。」
ピタ、と総司の足が止まった。
振り向き、平助を睨みつけて口を開く総司。
「謝る相手が違うんじゃないですか?
何で私に謝るんです。」
「そ、れは...。」
「自分がしたことが、間違っているなんて思ってないからでしょう?
私の為だから仕方がないと、悪いのはさくらだと。
彼女に悪いことをしただなんて、これっぽっちも思ってないからでしょう!?
例えそれが、自己満足どころか自尊心を守る為にしたことでも、彼女は普通じゃないからと決めつけてっ!!」
「!っ違、」
「違いませんよっ!
彼女が憎かったんでしょう?
彼女がっ、さくらを...っ!!
─平助まで、さくらを鬼だと言うのですか.....?」
ハッとした顔で平助が顔を上げた。
総司の声が、震えていたから。
─何で、彼女なんだろう。
止めてほしい。
お願いだからもう、これ以上彼女を傷付けないでほしい。
痛いんだ。
痛くて仕方がないから。