花を辿れば、
「否定したかったんだ。
俺が、俺の勝手な思いで否定したかった。
本当はあんなの総司の為なんかじゃないことくらい分かってた。
でも自尊心とか罪悪感とか苛立ちとか、色んな物が混ざって、頭で分かってても心が追いつかなかった。
ごめん。
総司、ごめん。勝手でごめん。
謝る相手も違うけど、聞いてほしい。
意味が分からないかもしれないけど、それでも。
─ごめん、総司。」
─色んな思いが混ざっている様な気がした。
頭を下げていて表情が見えないはずなのに、平助から色んな感情が感じ取れて、ただ罪悪感を誤魔化す為の行為なんかじゃない気がして。
よく分からないけれど、さくらへの謝罪とは別の意味の、何かを感じた。
「私ね...本当は全然、平助に悪いことをしただなんて思ってないんですよ。」
「...だろうね。」
「はい、さっきのもはっきり言って嘘です。
土方さんが仕事に影響が出るから早く片付けろと煩かったので仕方なく。」
「.....。」
どうやら最初から総司の気持ちは理解していた様子の平助だが、分かっていてもそこまではっきり言われると中々突き刺さる物がある。
だがそんなことは知らないとばかりに、再び話し出そうとする総司。
平助は若干不安そうな顔で、総司に目を向けた。
「絶対許してやりません。
って、言ってやるつもりだったのに。」
最初の一言でやはり、と顔を俯かせていた平助が、一瞬の間を空けてバッと顔を上げた。
「.......へ?」
「ブハ...ッ!平助、何て顔してるんです?」
「だ、だって...ええ?」
間抜け面の平助を見て愉快そうに笑う総司。
だが平助は固まったまま、信じられないという様な表情を浮かべていた。