花を辿れば、




『....ごめんなさい、今日は帰ってもらえますか。』





涙と共にさくらが零した、精一杯の言葉。




それを思い出した総司の足は、いつの間にか止まっていた。






─あれは、何よりも貴女の本心から来た言葉だったはずだ。




でも、それなら何故『今日は』だなんて言ったんですか...?




貴女にとって、私と会うことは貴女の未来の中で必要なことなのですか?






貴女にとって、私は、必要なのですか?






総司はきゅっと胸の辺りを掴んだ。




恋しさを抑える様に、愛しさを抑える様に。






─大袈裟なのかもしれない。
たったの三文字でそこまで連想するなんて、おかしいのかもしれない。




でも、それでも私の思いを募らせるのには十分過ぎて。




そうだったらいいだなんて、馬鹿らしいことを思っている私がいた。





貴女がその言葉を口にした意味なんて、私には分かるはずもない。




だから、直接貴女の口から聞こう。






貴女のその三文字に、僅かな希望を乗せて。







貴女に、会いに行きましょう。




< 47 / 52 >

この作品をシェア

pagetop