花を辿れば、
真っ青な快晴。
「...へ?鬼ぃ?」
縁側でのほほんとお茶をしているこの男─沖田総司は、耳からすり抜けていく話の中から、興味が湧いたものだけを拾って聞き返した。
「あぁ...というかお前俺の話全く聞いてなかっただろ。」
「......いやー土方さん以外に鬼なんて言われてる人いたんですねー。」
「オイ、今話逸らしたよな。
つーか俺に喧嘩売ってるよな。」
「嫌だなー、土方さんに喧嘩売るだなんて自殺行為な真似しませんよ。」
「そうか、死ね。」
先刻から、苛々しながらも総司に説明していた男─土方歳三は、溜め息を一つついた後、鋭い目を向け話し出した。
「最近、近くの寺に鬼が住み着いているという噂が流れていてな。
俺は鬼なんざ信じちゃいねーし、害が無けりゃそれでいい。
だが、『鬼』の正体だけは把握しとかなきゃなんねぇ。
──何が言いてぇか分かるな、総司。」
「...、害がある場合は。」
総司の目が真剣な物に変わった。先程までのほほんとお茶を飲んでいた男はもう居ない。
ニヤリ、と土方が唇の端を上げた。
「決まってるだろ。」