かけがえのないもの
「信じたくない…よね。分かるよ。私もだもん…」

「…瑠奈…」

瑠奈は、隼人の頬を濡らす涙を指で拭い、そのまま隼人の頬を両手で包み込んだ。

この上もなく、優しい手つきで…

「ごめんね…お兄ちゃん…先に死んじゃって…今まで黙ってて…」

隼人は何も言わなかった。
心の中が、空っぽになってしまったような感覚だった。

「…じゃあ、本当のこと、言うね。
びっくりするとおもうけど、全部本当のことだからね…」

瑠奈はそう言うと、真実を語り始めた。
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