かけがえのないもの
「で…どうしたんだ?父さんか母さんと喧嘩でもした?」

瑠奈に麦茶を勧めながら隼人が尋ねる。

「そんなんじゃないよ。ただなんていうか…お兄ちゃん元気にしてるかなぁって。」

「それだけでこんな遅く来るかよ…」

隼人には、瑠奈が無理して明るく振る舞っているように思えた。

「いいじゃん。会いたい時に来るのもダメなの?」

少し怒ったように尋ねる瑠奈。

「そういう事じゃないよ。ただ何の連絡もなく急に来たから何かあったのかなって思って。」

隼人は真っすぐに瑠奈を見た。

やはり何か隠してるような表情だ。
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