かけがえのないもの
翌日、隼人は家へと急いだ。

玄関を開けると、父と母が出迎えてくれた。

ずっと泣き通したのだろう。

母の目は腫れぼったく、真っ赤だった。

父も一気に憔悴しきってしまったような

やつれた表情だった。

瑠奈が…

西崎家にとってかけがえのない宝物がひとつ、

消えてしまった…

「おかえり、隼人。」

「父さん、母さん…」

両親の無理矢理作ったような笑顔を見て、隼人は胸が苦しくなった。
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