かけがえのないもの
いつもと何ら変わらない、可愛らしい瑠奈の顔

眠っている時のように、

目を閉じた、安らかな表情

隼人は、瑠奈の頬に手を触れた。

そこは、冷たかった。

残酷に突き付けられる、

「死」という現実。

しかし、隼人は、穏やかな笑顔で瑠奈に語りかけた。

「…瑠奈、いつまで寝てるんだよ。遅刻するぞ…」

生前、よくそうしてきたように、隼人は瑠奈の頬を優しく叩いて起こそうとした。
< 128 / 151 >

この作品をシェア

pagetop