かけがえのないもの
「ごめん…ごめんね、瑠奈…こんなに泣いて…お兄ちゃん、みっともないよね…」

隼人は手の甲で涙を拭い、微笑んだ。

左手には指輪が…

瑠奈が残した恩返しの証が、輝いていた。

「瑠奈…お兄ちゃんは絶対忘れないよ…
瑠奈っていう素敵な妹が、ずっとお兄ちゃんを慕ってくれたこと…
瑠奈と過ごした時間、瑠奈がくれたもの、瑠奈が教えてくれた大切なこと…
全部、お兄ちゃんにとって、かけがえのないものだから…」

隼人は瑠奈の顔を、頭を、愛おしそうに撫でた。
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