かけがえのないもの
「瑠奈…」

「きっと忘れてるんじゃないかなって思ってたから。」

瑠奈の笑顔に明るさが戻っていた。

「ごめんね…ほんとに…」

「無理もないよ。お兄ちゃん、忙しいんだもん。昔の事覚えてる余裕なんてなかなかないよね…」

「瑠奈…」

責められて当然なのに

瑠奈を傷つけてしまったと思ったのに

瑠奈はいつも通りの優しい微笑みを浮かべてくれる。

隼人の目から、自然と涙が流れてきた。
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