かけがえのないもの
「瑠奈…ありがとう…」

「ありがとうを言うのは私だよ、お兄ちゃん。」

瑠奈の笑顔はとても純粋だった。

心の奥に引っ掛かっていたものが取れたかのように晴れやかな笑顔。

「お兄ちゃんには、小さい頃からいっぱいいっぱい、大切なものもらった。
だからいつか…恩返ししたかった。」

「瑠奈…」

「今日、ちょこっとだけど恩返しできた…お兄ちゃんにあの頃のこと思い出してもらえた。
ほんとに…良かった。」

隼人の背中に腕を回す瑠奈を、隼人はまたそっと抱きしめた。

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