かけがえのないもの
隼人が一人暮らしを始める前夜、荷物や家具が運び出された隼人の部屋の片隅に、兄妹は座っていた。

「お兄ちゃん…やっぱり、行っちゃうんだね…」

少し広くなった部屋を見回しながら、瑠奈は隼人に寄り添った。

「うん。家からだと大学遠いからさ…」

隼人が通う大学は、家の最寄駅から電車で1時間半かかる。

早起きが苦手な隼人は、大学の近くで暮らせるアパートを探し、今のアパートで一人暮らしをすることを決意した。
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