かけがえのないもの

｢お兄ちゃん…酷いよ…｣

｢え…？｣

瑠奈の目には、何故か涙が浮かんでいた。

｢私が泣いてるの見て、やっと気づいたの？｣

瑠奈は少し感情を高ぶらせながら言った。

｢私はずっとずっと…物心ついた時から、お兄ちゃんのこと、すごく大切に思ってきたのに…｣

｢瑠奈…どうしたんだよ…｣

｢なのに…お兄ちゃんは、そのこと気づいてなかったんだね…
私が泣いてるの見て、やっと分かったなんて…遅すぎるよ…｣

瑠奈の目からまた涙がこぼれ落ちる。