かけがえのないもの
「全然迷惑なんかじゃなかったよ。」

隼人は深い愛情を込めた眼差しで瑠奈を見た。

「お兄ちゃん…」

「瑠奈のこと守るのが、お兄ちゃんの役目だって思ってたから…」

「ありがとう、お兄ちゃん。」

瑠奈も隼人を慕わしく見上げる。

「わがままばっかり言って、困らせたり、怒らせたりもしたのに…
お兄ちゃんは絶対私のこと見捨てないでくれたよね…嬉しかった。」

「父さんも母さんも、俺達のために一生懸命働いて、なかなか側にいられなかったからね。
俺が父さんや母さんの分まで瑠奈の側にいて、守ってあげなきゃって思ってたんだ。」

瑠奈は、その言葉に目を伏せた。
< 88 / 151 >

この作品をシェア

pagetop