かけがえのないもの
「しょうがないよね。お兄ちゃんが悪いんじゃないんだし。」

「…彼女が出来れば合格、か。」

天井を見上げる隼人を見て、瑠奈は吹き出した。

「お兄ちゃんったら…そんなわけないじゃん。」

「え?」

瑠奈にからかわれ、隼人は少しムッとしていた。

「ごめんね、からかったりして。…じゃあ、お兄ちゃんへのもうひとつのお願い、言うね。」

瑠奈は、隼人の手を握った。

その力の強さに、隼人は少し目を見開いた。
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