かけがえのないもの
「お兄ちゃんには、私との思い出、絶対忘れないでほしいんだ…」

まるで、これっきり、もう2度と会えなくなるような言い方だった。

「忘れるって…」

「誕生日のこと、私にとっては忘れるなんて絶対ありえないくらい嬉しかったのに、
お兄ちゃん、忘れかけてた…ショックだった。」

「…」

瑠奈の一言一言が、隼人の心に突き刺さる。

そして、思うのだった。

自分は、瑠奈の求めるお兄ちゃん像には、

まだまだ近づけてないんだと…
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