大切なもの…〜cherry tree〜
「まっ!実際何もないんやし、忘れよ」
真奈とケントは、荷物を片付け始めた。
真奈はリビング。
ケントは真奈の靴。
3つある部屋の1つは、
寝室。
2つ目の部屋は真奈の部屋。
3つ目は物置。
暗くなり始めたので、
小さな封筒を持ってケントと家を出た。
「大丈夫か?」
『何が?』
ケントの言葉の意味が
わからなかった。
「思い出が詰まった家から離れるの辛くない?」
『嫌な事は沢山あったけど、それ以上にいい事もあった。でも、いい事以上に淋しい想いが多かった。だからその想いに鍵をかけて封印する。二度と過去に振り返らんように』
去って行く後ろ姿を
見たくないから…
悲しい涙は
もう流したくないから…
真奈の想いにかけた鍵を
あなたに贈ります…