大切なもの…〜cherry tree〜
 


「何もいらんで」


『聞こえないです』


真奈は笑って言った。


ケントはため息をつきながら


「一緒におってくれるだけでいいねん」


と言った。


真奈は鼻歌を歌いながらご飯を作っている。


ケントの声は聞こえてるのに、聞こえないフリをした。


2人でビーフシチューを食べて、
一緒に片付けをする。


ソファに座っている時、
寝る時、
お風呂に入る時、
ずっと手を繋いでいた。


2人の指輪は、
あの頃と変わらず輝いていた。
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