大切なもの…〜cherry tree〜
駐車場を見ても、ケントの車はなかった。
家に戻り封筒を開けた。
中身は、
4文字の短い手紙と合鍵。
真奈は手紙と合鍵を持って家を飛び出した。
止まらずに走り続けた。
行き先は一つ。
あの場所以外、
真奈に行くとこはないから。
桜並木に着くと、
1本目の木の下に手で穴を掘って、
手紙と合鍵を埋めた。
『さよならって…なに…?』
初めての大好きな人からの手紙は、
たった4文字の悲しい手紙。
桜の木に手を当て声をあげて泣いた。