大切なもの…〜cherry tree〜
 



「達君?今愛子達と遊んどんやけど来る?てか、何処におるん?」


愛子?


電話の向こうは、女の子の声で賑やか。


話すつもりなかったのに、
口が勝手に話し出す。


『楽しそうやな』


かすれながらも、必死で声を出した。


「え?なに?」


全く聞こえていないケントに
真奈は大声で言った。


『楽しそうやな!
こっちは誰かのおかげで40度近い熱出してしんどいねん!!
何回電話しても電源切っとるし!!』


「もしもし?」


ここで達也君に電話を取られた。


「俺には女がおるねん。違うツレ探し」


達也君は、電話を切って真奈を見た。
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