大切なもの…〜cherry tree〜
 


考えた結果、
真奈は電話に出る事にした。


達也君から携帯を受け取り、
高鳴る心臓を押さえながら耳にあてる。


『…はい』


「話がしたいから今日の夜9時に家に行く」


『電話で言ったら?』


「今は遊んどるから無理」


真奈は、返事をしないで電話を切り、
達也君に携帯を返して、
タバコに火をつけた。


「なんて?」


『夜話しに来るって』


達也君は真奈の前に座り、
真奈の目をじっと見た。


『なに?』


真奈は視線に気付いた。


「お前、携帯は?」


思ってもいない事を聞かれたので、
体中から力が抜ける。
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