大切なもの…〜cherry tree〜
約15分後、
達也君は長い沈黙をやぶった。
「あいつはずっとお前の側におったんや…」
『?』
言ってる意味がわからない。
ケントは真奈から離れ、
ずっと側にいなかった。
『意味わからんねんけど』
「意味は今日ケントから聞き」
達也君は、訳のわからない事を
言い残して帰ってしまった。
今日会うべきか。
真実を聞くべきか。
9時まで後1時間。
ギリギリまで考えた。
コーヒーカップを取る為にのばした左腕。
薬指に光る指輪が目に入った。
その瞬間、
真奈は上着を持って家を飛び出した。
【何とも思ってない】
そう思っても、
やっぱりもう傷つきたくない。
弱い真奈は
また、
逃げ出した。