大切なもの…〜cherry tree〜
勢いよく、リビングのドアを開いて
『どぉゆぅ事か説明してくれる?』
真奈は、3人を見下ろして言った。
「元気そうやん」
『おかげさまで』
増えた声の正体は、達也君だった。
見知らぬ男が、
ケント達と仲良く喋っている。
『この人だれ?』
と聞くと
達也君が
「俺のツレ。俺のかわりに様子見に来てもらってん」
言ってる意味がわからず、
真奈は黙ったまま。
「ケントから真奈がおらんって電話がきたから、俺のかわりにこいつに行ってもらったの」
『別に来んでもいいやん』
小声で言うと、
ケントが立ち上がり、真奈の前に立った。
ケントはリビングの外、真奈はリビングの中。
少し開いたドアが境界線のよう。