大切なもの…〜cherry tree〜
「悔しかった」
『え?』
消えそうな声で言うケント。
「真奈の過去。
1番に聞きたかった。
達君より先に聞きたかった」
真奈は、涙を堪えて話た。
『言ったらケントが離れて行くような気がしたから』
ケントは立ち上がって、真奈を見た。
「離れるわけないやん!
俺が海で言った言葉は、
そんな軽いもんじゃない!!
何があっても、
真奈を幸せにするって決めてん!
喜びも悲しみも、
真奈と一緒じゃないと意味ないねん!」
真奈は、ケントに背を向け静かに涙を流した。
ケントの愛は、
冷めた真奈の心を温めてくれる。