大切なもの…〜cherry tree〜
「桜並木?」
『うん』
ケントの目を見る事が出来ず、俯き床を見つめる。
「取りに行こ!!」
『えっ…』
ケントは、真奈の手を掴み、立ち上がると
真奈の返事を聞かずに
強引に手を引っ張りながら玄関へ行く。
『ちょっと!』
真奈がケントを呼び止めると
ケントは優しく微笑んだ。
ケントの顔を見ると、
心の中の不安は消え
何かが少し軽く感じた。
2人で車に乗り、桜並木へ向かう。
車内は静かで、会話もない。
今の真奈達には、
言葉を交わさなくても
お互いの気持ちが繋がってる。
それだけで、
真奈の心は明るく晴れていく。