大切なもの…〜cherry tree〜
「迷子にならないでくださいね」
剛君は、真奈を見て言った。
『なりません』
前後に並んで歩いていた真奈達は、
自然と横に並んで歩いた。
「姐御は幸せですね」
『なんで?』
目的が無い真奈達は、
人の流れに逆らって話ながら歩く。
「ケンさんって女と遊んでも絶対彼女作らんかったのに。
ケンさんの彼女見たの、姐御が初めて」
『ケントってモテそうやのに』
真奈は、剛君の言葉が気に入らなかった。
「モテてましたよ。毎日違う女の子に呼ばれてたし」
『へー』
昔のケントの話は聞きたい。
でも、
他の女の子の話は聞きたくない。