大切なもの…〜cherry tree〜
 


「でも、あんなに優しいケンさん見たのも初めて」


剛君は、ニヤッと笑って真奈の前を歩いた。


真奈は黙って後をついていく。


聞きたくない話でもやっぱり気になる。


聞いて後悔するかもしれない。


それでも、大好きな人の過去…


いい事も、悪い事も知りたい。


剛君について行くと、
人があまりいない場所に辿り着いた。


「姐御は大切にされてます。ケンさんにも、お兄さんにも」


剛君の言葉で、
真奈の顔は自然に柔らかくなった。


「幸せになってください」


『真奈は幸せです』


「今以上に!」


剛君は笑顔で言った。


今日、剛君の印象が変わった。


苦手な人から、
優しくて思いやりのある人に。
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