大切なもの…〜cherry tree〜
ケント達は車に乗り込んだ。
「真奈?」
真奈はケントに、
『歩いて帰ってもいい?』
と聞くとケントは、
「一緒に歩こか?」
と質問を返す。
真奈は首を横にふり、
花束をケントに渡して歩き出した。
どこを見ても桜の木が
目に入ってくる。
見上げると、
桜の花びらは綺麗に舞い、
桜の木の下を見ると、
散った花びらが
車に踏まれ黒くなっている。
落ちた花びらを見ると
少し悲しくなった。
『妊娠か…』
独り言を言いながら、長く続く道を
ゆっくり進み続けた。