大切なもの…〜cherry tree〜
5月。
桜の花は散り、
緑いっぱいの葉が木を覆っていた。
少し肌寒かった初春の風も、
今は温かい。
誕生日まであと2日。
真奈はいつもと変わらず
洗濯や、掃除をしていた。
時計を見るとまだお昼。
ケントが帰ってくるまで
暇な真奈は、ソファに横になってテレビを見ていた。
太陽の光が真奈の体を温め、
うとうとし始めた。
ーピーンポーン…
閉じていた真奈の目が大きく開き、
『誰?』
背を丸くして玄関に向かった。
相手を確認しないで玄関を開けると、
真奈はすぐにドアを閉め、鍵をかけた。