大切なもの…〜cherry tree〜
 


鳴り響く、大きなブレーキ音と激しい衝突音。


『ケント!!』


真奈は、ふらつく足を必死に前へ出し、
ケントが笑って手を振っていた場所へ向かった。


道路の真ん中に止まっている車は、
フロントガラスが粉々に模様を描き、
ボンネットには、大きな傷と大きなへこみがハッキリと見える。


真奈は、ケントの姿を探した。


でも、
ケントの体は近くになく、
遠くに飛ばされていた。


『…ケント?』




ケントは、動かない。
< 383 / 405 >

この作品をシェア

pagetop