大切なもの…〜cherry tree〜
鳴り響く、大きなブレーキ音と激しい衝突音。
『ケント!!』
真奈は、ふらつく足を必死に前へ出し、
ケントが笑って手を振っていた場所へ向かった。
道路の真ん中に止まっている車は、
フロントガラスが粉々に模様を描き、
ボンネットには、大きな傷と大きなへこみがハッキリと見える。
真奈は、ケントの姿を探した。
でも、
ケントの体は近くになく、
遠くに飛ばされていた。
『…ケント?』
ケントは、動かない。