大切なもの…〜cherry tree〜
『ケント!!』
ついさっきまで、笑っていたのに…
大きく手を振っていたのに…
目の前にいるケントは、
もう笑っていない…
真奈はケントと一緒に救急車に乗り、
近くの病院に向かった。
病院に着くまで、
真奈はケントの手を摩り続け、
目を開けないケントに、
『真奈とケントの赤ちゃんが出来たんやで…真奈とケントに…家族が出来たんやで…』
「真奈ちゃん」って、
小さな子供のように
抱き着いて喜んでくれると思ったのに…
ケントは、喜ぶどころか
声もかけてくれない…