大切なもの…〜cherry tree〜
失った笑顔
数分後。
白衣を着た1人の先生と
看護婦さんが部屋に入って来た。
「何があったかわかりますか?」
真奈は質問に答えず、
ただ窓から外を眺めるだけ。
目の前に置かれた携帯を見ると、
ケントを最後に見た日から3日もたっていた。
達也君やケントの母親がいろいろと話し掛けるけど、
真奈は1度も言葉を発しないだけじゃなく、
目も合わせず笑顔も一緒に失っていた。
ケントがいない今は、
言葉も笑顔も意味がない。