大切なもの…〜cherry tree〜
屋上に着き、
てすりに手をかけて体を半分乗り出した時、
「なにしとんねん!!」
達也君に止められ、
真奈は達也君の腕の中にいた。
それでも話さない真奈に苛立ったのか、
「こんな事してどないするん!?お前のこんな姿見たら、ケント泣くで!!」
真奈の腕を掴む達也君の手は、力強くて
真奈を見る達也君の目は、
涙が溢れるくらい
たまっている。
真奈は思った。
真奈のせいで、
みんなが無駄な涙を流す。
真奈がいるから、
みんなが不幸になる。
真奈と出会わなければ、
ケントも剛君も旅立つ事はなかったのに…