大切なもの…〜cherry tree〜
 


長い月日がたち、
季節は春を迎え、
真奈のお腹は大きくなっていた。



なかなか笑顔を見せない真奈に、
達也君は病院の敷地内にある、
小さな庭のような場所に連れて行った。


そこは、
緑一面の芝生の先に
沢山並んだ桜の木。


「また桜の季節がきたんやで」



桜を見て、
真奈は昔の出来事、
自分がしてた事、
優子の裏切り、
剛君の旅立ち。


忘れていたケントの笑顔。


ケントの温もり。
< 398 / 405 >

この作品をシェア

pagetop