大切なもの…〜cherry tree〜
 


朝10時。


ーピーンポーン


『全部クローゼットに隠して』


真奈の一言で、
優子は音をたてずに貰い物を
クローゼットに入れた。


真奈が玄関を開けると、
スーツを着た女の人が2人立っていた。


『お久しぶりです』


真奈が頭を下げて言うと、女の人は、


「真奈ちゃん元気やった?」

と言いながら玄関に入る。


『はい。どうぞ』


真奈は2人をリビングに通した。


「今日お母さんから電話あった」


この人達は市役所の人。


真奈達が住んでる家は県住。


『なんて?』


「この家の解約」


真奈は驚きもしなかった。


市役所の人達も呆れた顔をしている。


このような事は初めてではない。


母親は、
何か理由を付けて、
真奈を追い出そうとする。
< 60 / 405 >

この作品をシェア

pagetop