大切なもの…〜cherry tree〜
朝10時。
ーピーンポーン
『全部クローゼットに隠して』
真奈の一言で、
優子は音をたてずに貰い物を
クローゼットに入れた。
真奈が玄関を開けると、
スーツを着た女の人が2人立っていた。
『お久しぶりです』
真奈が頭を下げて言うと、女の人は、
「真奈ちゃん元気やった?」
と言いながら玄関に入る。
『はい。どうぞ』
真奈は2人をリビングに通した。
「今日お母さんから電話あった」
この人達は市役所の人。
真奈達が住んでる家は県住。
『なんて?』
「この家の解約」
真奈は驚きもしなかった。
市役所の人達も呆れた顔をしている。
このような事は初めてではない。
母親は、
何か理由を付けて、
真奈を追い出そうとする。