大切なもの…〜cherry tree〜
 


この人達は、毎回真奈を助けてくれる。


それは母親の本性を知っているから。


「今回は何があったん?」


市役所の人が問う。


『荷物持って鍵を置いて出ていけって言った』


「まだ男と住んどん?」


『たぶん。荷物取りに来たって言いよったから』


母親と一緒に住んでる男は年下で、
3人の小さい子供がいる。


男は仕事もせず、
毎日パチンコに行っているらしい。


『あと、借金しやがった』


「返済は?」


『真奈がちょっとずつ払いよる』


市役所の人はため息をつき、話し出した。


「ここを出てお母さんの知らんとこでゆっくり生活してみたら?」


出来る事ならそうしたい。


母親に邪魔をされずに
ゆっくり平和な日々をおくりたい。
< 61 / 405 >

この作品をシェア

pagetop