大切なもの…〜cherry tree〜
この人達は、毎回真奈を助けてくれる。
それは母親の本性を知っているから。
「今回は何があったん?」
市役所の人が問う。
『荷物持って鍵を置いて出ていけって言った』
「まだ男と住んどん?」
『たぶん。荷物取りに来たって言いよったから』
母親と一緒に住んでる男は年下で、
3人の小さい子供がいる。
男は仕事もせず、
毎日パチンコに行っているらしい。
『あと、借金しやがった』
「返済は?」
『真奈がちょっとずつ払いよる』
市役所の人はため息をつき、話し出した。
「ここを出てお母さんの知らんとこでゆっくり生活してみたら?」
出来る事ならそうしたい。
母親に邪魔をされずに
ゆっくり平和な日々をおくりたい。