大切なもの…〜cherry tree〜
歩き始めて30分。
あの場所に着いた。
「これ…」
『真奈の大好きな場所』
真奈が連れて来た場所は桜並木道。
『嫌な事があった時とか、悩んだ時にくるねん』
「こんな場所があるんやな」
ケントは見上げながら歩き出した。
真奈も見上げて歩く。
そして話し出した。
『中学の入学式の日の夜に見つけてん』
ケントは振り向き真奈を抱きしめた。
「ここは真奈の逃げ場やねんな。
いい思い出じゃなく、
嫌な思い出の場所」
確かに真奈にとって
この場所はいい思い出がない。
母親に捨てられた日に見つけた場所。
散っていく桜を見ると、
泣いているように見える。
だから、真奈の悲しい場所になったのかな…