秘密のkiss
2kiss
平井くんとの異例のお昼をして三日後
今日は柊の試合の日だった。
予定もない私は、久しぶりに柊の試合観戦へ行くことにした。
平井くんの言葉が少し気かかり、今日はいつもの髪型をやめて、髪を下した
柊は朝早くから行ってしまったため、私はのんびりと家を出る。
試合場所へ着くと、初戦にも関わらず、大勢の人で混雑していた。どこに座ろうか私が戸惑っていると、
「おーい!桜木」
と声が聞こえた。
見ると、柊のサッカー部のOBだった。
「安藤先輩…」
先輩は、隣の空いている席を指差して、こっちこっちとジェスチャーしている。
私は言われるがまま、先輩の方へ向かう。
「久しぶり。桜木」
先輩は私を見るなり、笑顔でそう言う。久しぶりの先輩は、大人っぽい私服姿で、今時の大学生になっていた。
「桜木、珍しく髪下ろしてるな。大人っぽいじゃん」
「ありがとうございます、。先輩も髪…」
「あぁ、伸びたろ?あの時は短かったからな」
「席、いいんですか?」
「あぁ。この席は桜木の席だよ。朝、柊に頼まれた」
「柊が…?」
「相変わらず仲良いんだな、お前ら。羨ましいよ」
それを苦笑いして反応する私。
「でも、本当にあいつはいい男だからな~」
先輩は、グランドを眺めながら呟く。
そんな柊が、幼馴染みを心配して、彼女も作らないと知ったら、先輩はどんな反応をするだろう…。
「お、始まるな…」
先輩の声がして、私も姿勢を直した。