ミスティ ムーン=静かなる調べ=
リヒトは一気に二階の部屋へ駆け上がり、机に開いてあったノートを勢いよく破り捨てた。
うわごとのように呟きながら、鼻水を拭いた。
「女ならなんでもいい。俺に優しければもっといい。貢いでくれればもっともっと良い。よおーし! アメリカで金髪美女をゲットだ」
哀しい青少年の、モチベーションが黒々とした道に導かれ、別方向へ力強く広がった瞬間だった。
「と、待てよ。いまどき金髪だけがステータスじゃないだろう。赤毛なんかどうだろうか。ダークブロンドとか。瞳は水色。いや、どんな色だろうがゲットせねば意味があるまい」